ポルシェ ボクスター

ボクスター青写真 ポルシェ
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718スパイダーのベースになっている、ミッドエンジン&ロードスターの「ボクスター」。

開発の経緯

1990年代前半は、ポルシェAGにとって経済的に非常に厳しい時期でした。ドル安による米国での販売台数の減少、911、944、968、そして928の独立した4つの製品ラインの生産コストが高すぎたため、深刻な状況に陥り、他の大手自動車メーカーの買収ターゲットにもなりました。
1996年、まったく新しく開発された「ボクスター」の登場は、同社の運命に決定的な転機をもたらすことになりました。ポルシェにとって新しい市場セグメントを開拓しただけでなく、そのコンセプトと既存の911を下回る価格設定によって、若い顧客層を惹きつけることに成功しました。

発表

ポルシェは、1993年1月、デトロイトモーターショーで「ボクスター」スポーツカーコンセプトを発表しました。この名前「Boxter(ボクスター)」は、水平対向「Boxer(ボクサー) engine」と「Roadster(ロードスター)」の合成語です。

ポルシェ担当デザイナーが、1991年10月の東京モーターショーに参加して、Audiが「Avus Quattro」のコンセプトカーを発表に刺激され、「ボクスターのデモカーを造ろう」と決めたそうです。それをデトロイトでのモーターショーで発表することも決めました。
それは、最大マーケットの米国において、市場内の「ロードスター」セグメントは、すでにマツダの「ロードスター」やBMWの「Z1」に抑えられていること、ポルシェ自身、当時は米国市場でのシェアが低かったことから、とのこと。

ボクスターのコンセプトは、ポルシェの初期のスポーツカーであるスパイダー、スピードスター、ロードスターの技術開発を継承させ、1950年代の550スパイダーと718 RS 60を意識的に参考として、その特長を反映させています。ミッドエンジン、リアの短いボディオーバーハング、フロントアクスルから大きく伸びたフロントエンド、中央に配置されたエグゾーストテールパイプなど。他に、エアインテークとエアアウトレットの開口部、ヘッドライト、テールライトと方向指示器も重要なデザイン要素です。インテリアは、ドアパネル、インストルメントキャリア、センターコンソールに外装色に塗装された金属を使用し、マッチするようにデザインされています。

デトロイトでのモーターショーでの発表後、内外、専門家、評論家からの反響は非常に大きく、デザイン作業は直ちに辞めるように指示が出て、代わりに「コンセプトそのままで生産できるようにするように」とのミッションが与えられたそうです。

開発の条件

ボクスターの条件として、開発の経緯から、製造コストが高くならないこと、その結果、販売価格も高くならないこと、がありました。つまり、911の車両コンセプトと部品から、新たな製品ラインを作ることを考えたわけです。2シーターで、911に近いフロントエンドを持ち、ポルシェであることを明確に認識できるようにする。さらに、新型車の価格は7万マルク(約600万円(85円/マルク)として)程度で、若い顧客にもアピールできるものが求められました。

最初の986ボクスターは、導入から1年後の1997年に発売された996世代の911と、フロントエンド、ドア、その他多数の部品を共有しました。両製品ラインの生産コストと在庫コストを大幅に削減するためです。新車の生産コストを30%削減することが目標であったため、特に組立ての共有部品を採用し、それを実施するために、2台の車を同時に担当する開発チームを立ち上げたそうです。

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