718スパイダー(982 version)のひとつ前のモデルは、「981ボクスター スパイダー」。この「ボクスター のスパイダー」と、単なる「スパイダー」という呼び名に違いが出ます。それは、「GTカー」であるかないか、つまり718はGTカーであり、そうでない「ボクスターシリーズのスパイダー」と区別するために単に「スパイダー」と命名しています。
では、その差を見てみましょう。
スペック: エンジン
981ボクスター スパイダー | 718スパイダー | |
生産年 | 2015-2016 | 2019-2023 |
生産台数 | 2,489台 | 945台〜 (2019年まで) |
排気量 | 3,800 cc | 3,995 cc |
最高出力 | 375PS / 6,700rpm | 420PS / 7,600rpm |
最大トルク | 420Nm / 4,750-6,000rpm | 420Nm / 5,000-6,800rpm 430Nm / 5,500rpm (PDK) |
エンジン最高回転数 | 7,800 rpm | 8,000 rpm |
最高時速 | 290km/h | 301km/h 300km/h (PDK) |
0-100km | 4.5s | 3.9s (PDK、ローンチコントロール装備時) |
総合燃費 | 9.9L / 100km | 10.9L / 100km |
満給油時走行距離 | 545km | 587km |
ガソリンタンク容量 | 54L | 64L |
CO2排出量 | 230g / km | 249g / km |
981の生産期間は2年間、718は5年間のため、また、半導体不足、COVID-19の影響を受け、2020年以降の生産台数低下がありますので、生産台数の比較は出来ません。
エンジン周りのスペックに関しては、共通点は、水平対向6気筒ミッドエンジン、後輪駆動、6速マニュアルミッションですが、718において、出力、トルク、最高時速など、全てのスペックで上回っており、その差は歴然としています。ただ、数値的に上回っているからと言って、感覚的などちらが好みか、というのは、異なるようですね。
ここでは表現できませんが、「排気音」に関しては、981の方に圧倒的人気があるようです。参加しているFacebookのスパイダーのグループにおいても、排気音の軍配は圧倒的に981に上がります。718は、軽く乾いた音に変わったようで、981では、その重低音と迫力ある音量に関しては、海外ファンからも圧倒的支持を得ているようです。自分は718の乾いた音は非常に好きで、イグニッションを回した時の音、「スポーツエグゾースト」をオンにした時の、さらに低くなる乾いた音は独特で、他のスパイダーが近くに来れば、すぐにスパイダーだ、とわかると思います。
スペック: ボディ・シャシー
981ボクスター スパイダー | 718スパイダー | |
ホイールベース | 247.5 cm | 248.4 cm |
車長 | 441.4 cm | 443 cm |
車幅 | 180.1 cm | 180.1 cm |
車高 | 126.2 cm | 125.8 cm |
フロントアクスル | 152.6 cm | 153.8 cm |
リアアクスル | 154.0 cm | 153.4 cm |
フロントブレーキローター | 直径340mm、34mm厚 | 直径380mm、34mm厚 |
リアブレーキローター | 直径330mm、28mm厚 | 直径380mm、30mm厚 |
フロントタイヤ | 235/35 R20 | 245/35 R20 |
リアタイヤ | 265/35 R20 | 295/30 R20 |
最小回転半径 | – | 11.0 m |
車両重量 | 1,315 kg | 1,420 kg 1,525 kg (PDK) |
単位出力重量 | 3.5 kg/hp | 3.3 kg/hp |
フロントサスペンション | マクファーソンストラット、 コイルスプリング | 独立懸架式マクファーソンストラット、 コイルスプリング、 アンチロールバー |
リアサスペンション | マクファーソンストラット、 コイルスプリング | 独立懸架式ストラット、 コイルスプリング、 アンチロールバー |
トランク容量 | 280 L (フロント:150L、リア:130L) | 270 L (フロント:150L、リア:120L) |
タイヤ幅、ブレーキローターサイズ、サスペンションその点の差が目に着きます。718を「GTカー」と呼ぶにふさわしいその足回りということですね。718には、同じGTカーとしての「ケイマンGT4」があり、そちらと同じエンジン、足回りを共有しています。
718の場合、表にはありませんが、PASM (Porsche Active Suspension Management) システムにより、車高が他の718モデルと比べ、30mm低い車高となり、横方向のダイナミクスを向上させています。またタイヤも特別に開発された718ケイマンGT4と同じウルトラ・ハイパフォーマンス(UHP)タイヤを履いています。ニュルブルクリンクにおいて、UHPタイヤを履いた「718ケイマンGT4」は、先代「981ケイマンGT4」よりも、12秒速いタイムをマークしています。
981 vs 718
スペックは、新しい718の方が押し並べてより改良が重ねられているようですが、それはより新しいので当たり前のことです。新車販売価格に関しては、718は、最終的には、1,300万を超えています。981は、約1,000万円でしたので、スペックの差と価格差がどれだけ関連しているのかはわかりません。718は、2022年に、ウクライナでの紛争や半導体品不足の外的影響で、70-80万円の値上げをしています。それを踏まえると、元々の差は、220-230万円ですが、デザイン、エンジン、サスペンション、ブレーキ、タイヤのアップデート費用ということですね。
外観は、718では、フロントスポイラーリップと“Spyder”ロゴが際立つフロントエプロン、ティンテッドテールライトのデザインは先代の981から変更されています。リアのディフューザーは、独立した2本のブラックのスポーツテールパイプが特長で、先代981に比べて車両全体の揚力を50%削減しています。2本というのは両者共通ですが、718では、2本のパイプ間の距離が、幅広の安定したリア姿を作り出していると思います。
外観こそ、個人の嗜好性により、良し悪しはオーナーの好みになりますね。自分は718のリアライトが好みです。前方(外側方向)への張り出しが少なく、縦方向がコンパクトでフラットなライトになり、洗練された感じが好きです。
981は運転したことがないので、スペック、外観、海外のスパイダーオーナーの意見を元に書きました。「最新のポルシェが最高のポルシェ」という言葉を頼りに、718を楽しんでいきます。
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